投資で儲けるために業績回復株の投資戦略を確立する 後編

投資の世界で成功するためには、投資戦略を確立する必要があります。感情的に行動することを避け、常に合理的に行動する事が求められるからです。

 

儲けるために業績回復株の投資戦略を確立する 前編

・問題が発生し短期間で大きく値崩れしていること
・問題が構造的な理由でないこと
・自己資本比率が低くないこと

 

 

キャッシュを得る高い技術やサービスがあること

 

一時的な問題を抱えた企業が、倒産せずに問題を回復できるか、それとも問題を対処しきれずに倒産してしまうかは、キャッシュを得るための高い技術やサービスを提供しているかどうかが、大きな分かれ目となってきます。

 

問題が発生し、連日のように悲観的なニュースが報道されると、その企業の株価は暴落していきます。債務超過寸前になり、融資先のスポンサー企業や銀行が現れないと、かなりの確率で、その企業は倒産してしまいます。

 

ここで融資先が資金を提供するかどうかは、その企業が利益をあげるビジネスモデルを持っているかどうかが重要になってきます。融資先が、資本を提供するかどうかは、提供した資金を「何年で回収できるか」をポイントにしているからです。

 

例えば、一時的な問題で1000億円の借金が発生したが、100億円の利益を得ている場合は、10年で回収することができるので、資金を提供します。10年後には、初期費用を回収でき、それ以降は、収益を上げることができるからです。

 

ただし、問題の内容がその企業の収益にまで、影響を与えてしまうような問題の場合は、状況は一変します。資金を提供しても、回収できないと判断されてしまいます。

 

問題がビジネスモデルと直接関係ないこと

 

融資先を確保するために、発生した問題の内容がビジネスモデルに直接影響しないことが重要です。

 

具体的な例をあげると、電力会社のように、一時的な問題が発生し全原発が停止したとしても、ビジネスモデルには直接は影響しません。

 

原発が停止したことにより、1kw当たりの電力コストは上昇しますが、それは電力を消費する消費者が間接的に負担することになるからです。

 

日本の電力会社の場合、完全な「地域独占型」の企業になります。電力会社が電気料金を値上げしたからといって、消費者は他に購入先がないからです。

 

2016年4月から電力の自由化が始まりましたが、これは独占企業を揺るがすほどのインパクトは薄いです。電力を自前で発電する新規参入は少なく、大半は小売業として参入しているからです。

 

小売業の電気の仕入れ先は、既存の電力会社になります。自前で発電する参入者であっても、地方電力会社が、原発を再稼動し安い料金で電力を供給した場合、電力の仕入れ先は既存の電力会社から購入します。

 

実際に、電力の契約切り替えをした消費者は、全国で「2%」にとどまっています。ポイント加算などで、サービスに付加価値を付けていますが、結局、電力の契約先を切り替えても、電気料金が変わらないことは、多くの消費者は気付いています。

 

朝日新聞
「電力契約切り替え147万件、全国の2% 4月自由化で」


リスクが見積もれるようになること

 

業績回復株を見極める上で、リスクが具体的に見積もれるかどうかは、一番重要な指標になってきます。

 

問題が発生し、悲観的なニュースが出る間は、株価はずっと下がり続けることになりますが、一旦リスクが具体的な数値で見積もられるようになると、株価は好転し徐々に回復し始めるからです。

 

電力会社の賠償金であれば、被害者の数が合理的に見積もられ、賠償期間が具体的に決まってくると、投資におけるリスクが算出できるようになります。この状況になるまでに、1年以上かかるかもしれないし、場合によっては数年経ってもわからない場合もあります。

 

ただし、ここで注意が必要です。

リスクが具体的に見積もられるようになってくると、多くの投資家が魅力的な投資先だと気付くようになります。この時点で、投資をはじめても、すでに底値を脱し、ある程度株価が元の水準に戻している可能性が高まります。

 

そうなると、リスクも減少しますが、得られるリターンも同様に減るため、業績回復株としての旨味は薄れてしまいます。

 

業績回復株として成功を収めるためには、リスクが正確に見積もられた後ではなく、見積もられるだろうと判断できた時に、実行に移す必要があります。


以上の投資戦略は、投資の経験値が上がってくると、より具体的により洗練されてきます。投資戦略を確立できるようになるまでは、大きな失敗も経験することになります。

 

しかし、投資手法が洗練されてくると失敗も減り、徐々に投資成績が上向いてきます。リターンが大きい手法のため、一度成績が上向き始めると資産が大幅に上昇していきます。