「投資でお金持ちになるにしても、一晩で金持ちになる必要はない。」
世界一の投資家ウオーレン・バフェット氏は、このように私たちにお金持ちになる方法を教えてくれます。しかし現実は多くの個人投資家の方は実践できないでいます。
少しの儲けが出ると利益確定で株を売ってしまい、ちょっと損をすると損きりでせっかく手に入れた株を自ら手放してしまいます。
どうして個人投資家は購入した銘柄を持ち続けることができないのでしょうか?
- 短期投資か長期投資か?
- なぜ短期投資家がダメなのか?
- 世界中の参加者が集まる場所でゼロサムゲームに参加していはいけない
- 1%が世界の半分以上の資産を握る
- それでも短期投資家が増えてしまう理由
- ひと晩でお金持ちになることを諦めればお金持ちになれる
短期投資か長期投資か?
投資を開始するときに、短期投資家になるのかそれとも長期投資家になるのかは、一番最初に考える選択肢です。
この問いに答えを出さないまま投資を始めてしまうと、多くの人は短期投資家、もしくはデイトレーダーへと流れてしまいます。
短期投資家やデイトレーダーが稼げない理由は明確にあります。そうした事実とは裏腹に、短期投資家の方が長期投資家よりも好まれる傾向にあるようです。
買った銘柄を手放さないと口で言うのは簡単かもしれませんが、チャートを眺めていると誰もが売りたい欲求に駆られてしまいます。
なぜ短期投資家がダメなのか?
短期投資家がダメな理由は、自ら売買コストを上げてしまうからです。短期投資家とひとことで言っても1年単位、月単位、週単位、1日単位など明確に分かれるわけではありません。
1日単位にの場合はデイトレーダーと言いますが。
明確な定義があるわけではありませんが、長期投資というと5年以上銘柄を手放さない投資家をいいます。
短期投資家は売買の単位が短ければ短い程、売買コストを自ら上げてしまうため市場でお金を失いやすくなります。
なぜコストが上がってしまうのかというと、株を売買するためには、証券会社に手数料を支払う必要があるからです。また利益を確定すると利益の内20%を税金として政府に収める必要もあります。利益に対して税金を課されますが、損した分を取り戻すことはできません。
つあり20%の利益プラス取引手数料という重力を受けながら、毎年の運用益をプラスに持っていかなければなりません。自分で自分のハードルを高くしてしまいます。
ギャンブルでお金を稼ごうと思ったときに、入場料が高いカジノにするかそれとも安いところを選ぶかというくらい、これは簡単な問いです。
世界中の参加者が集まる場所でゼロサムゲームに参加していはいけない
売買コスト以外にも短期投資家になってはいけない理由があります。
長期投資として市場に参加するとプラスサムゲームになりますが、短期投資として市場に参加するとゼロサムゲームになります。
→厳密には手数料を考えるとマイナスサムゲームですが
ゼロサムゲームなら自分が勝てればいいじゃないか、と思う人がいるかもしれませんが、現実はそう単純ではありません。麻雀やトランプなど賭け事をやったことがあればイメージしやすいと思いますが、こういうゲームでは上位2割の勝者が掛け金の大半をかっさらいます。
たとえば10人の参加者が100万円ずつ出して争うゲームがあるとします。
このときに、5人が負けて残りの5人が平等に勝ち分を取り合うようなゲームであれば、それほど割に合わないゲームではありません。100万円失う可能性もあるし、100万円手に入れる可能性は半々です。
しかし、現実の世界では参加者の8割が100万円を損をし、勝者1人が大半のお金を一人で手にし、残りの1〜2人がプラスマイナスゼロ程度に落ち着きます。
1%が世界の半分以上の資産を握る
勝負の世界とはこういうものです。これは現実の世界で当たり前のようにそうなっています。
2016年、「1%」の最富裕層が世界の半分以上の資産を握る(調査結果)
これは参加者が多ければ多い程顕著にこの結果は表れます。株式市場など世界中から人が集まる環境にいるとどうなるでしょうか?
1人で10億円利益を稼ぐ強者がいるとすると、その陰で100万円損する弱者は1万人いるのが現実です。
世界中から人を集めて勝負すると飛びぬけた人が必ずいます。数億円の取引を顔色ひとつ変えずに売買する人がいます。彼らと同じ土俵でゼロサムゲームで勝負することは避けた方がいいです。
カジノに行けば参加者は最大でもその場にいる入場者ですが、株式市場ではインターネットに繋がった世界中の短期投資家がライバルです。
FXは「世界最大の24時間営業のカジノ」とはよく言われますが、株式でもデイトレーダーは同じようなものです。
それでも短期投資家が増えてしまう理由
これだけのデメリットがあるのに、どうして短期投資家が増えるのかわたしには不思議でしょうがありません。
長期投資家が必ず儲かるのか?と聞かれると必ずしもYesではありませんが、長期投資家の場合、時間が味方してくれるためリスクを最小限に抑えることができます。
短期投資家が増える理由はあります。短期投資家をエサにビジネスを展開している人たちが、大量に存在するからです。
投信信託などの金融商品を投資家に買ってもらいたい営業マン、売買手数料で利益を稼いでいる証券会社がそれにあたります。
逆に長期投資家のようにひとつの銘柄を持ち続ける人たちは、彼らにとって商売にはなりません。1年に1回1000万円の銘柄を売買してもそのコストは数千円程度です。
対して100万円の売買をひと月に何回も繰り返す短期投資家は、証券会社にとって大口のお客になります。
投資を始めてみるとわかりますが最初のうちは長期でやろうと思っていても、短期で売買したくなる誘惑と常に戦うことになります。冷静に立ち止まって、短期に掛かるコストや、その利益をだれが手にするのかを考えると短期でやろうとは思わなくなります。
短期投資家をエサにしている営業マンや証券会社は、短期売買で大金を稼いだサクセスストーリーが大好きです。インターネットや金融関連の雑誌を開くと、必ずといっていい程登場します。
彼らの投資法を紹介することで、長期投資家も短期投資家に生まれ変わることを期待しています。証券会社が発行する雑誌で、長期投資を勧めるようなコラムを目にする機会は決して多くはありません。
ひと晩でお金持ちになることを諦めればお金持ちになれる
投資の世界に限らず、ひと晩でお金持ちになりたいと思う人は意外と少なくありません。
その証拠にいくら割に合わないと理屈ではわかっていても、宝くじを買い求める人は後を絶ちません。彼らはある朝目覚めて当選番号が書いた新聞を開き、とつぜん自分が億万長者に生まれ変わることを期待しています。
競馬やパチンコや株はリスクが高い、汗水たらして真面目に働け!と言いますが、その裏でせっせと宝くじを買い求めます。私の両親もまさにこのタイプです。
彼らは常にひと晩でお金持ちになる方法を探しています。株でチャンスがあると思ったら株に飛びつき、FXでチャンスがあると思ったらFXに飛びつき、仮想通貨(ビットコイン)でチャンスがあると思ったら仮想通貨に飛びつき、アフェリエイトでチャンスがあると思ったらアフェリエイトに飛びつきます。
そして最終的には、楽してお金は儲からないと判断し、銀行貯金にお金を預けて額に汗水流して仕事をしよう!という結論に落ち着きます。
資産形成には特別な能力が必要なのではなく、投資を利用すれば誰もがお金持ちになれる可能性があります。そのために、一晩でお金持ちになりたいという欲求を捨てればいいだけです。