若い人が安易に転職に走ってしまうと余計貧乏になってしまう理由

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ひと昔前に比べて転職というのはかなり一般的になりました。

 

20~30年前は、サラリーマンとはひとつの会社で定年までまっとうするのが世の中の常識でした。転職歴が多いとそれだけで人格に問題があると判断されていた時代です。会社を変える人はごく一部の限られた世界の人たちです。

 

今はどうでしょうか。会社を2~3社変えるのは当たり前だし、最近だとそもそも会社に所属せず個人でも複数の企業と契約して生計を立てる人さえ少なくありません。

 

時代の移り変わりは早いなということを感じます。そんななか今日は若い人が転職をすることについて書きます。

 

結論からいうと最近は転職市場が過熱しすぎていることもあって、経験の少ない若いサラリーマンが収入を増やすための転職は、以前よりも難しくなったのではないかと思っています。

 

以前よりも転職市場が効率化されているのは間違いないですが、効率化されればされるほどこの傾向は強くなります。

 

 

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転職エージェントが報酬を得る方法

 

まず転職初心者が意外と知らない事ですが、転職を斡旋している人たちはどうやって収入を得ているのか。彼らのビジネスモデルを知らないと、利用するはずの転職サービスが逆に彼らに利用されてしまうことになります。

 

彼らは転職希望者を企業に斡旋することで報酬を得ています。成約しない限りは、大概は一円も報酬は支払われません。転職者とのインタビューや相談は、彼らにとってお金にはなりません。この点はかなりシビアな世界です。

 

供給サイドが過剰に増えたことで、この報酬の仕組みがモラルハザードになっているようにも感じます。

 

完全に成果型の報酬なため、稼げるエージェントとそうでないエージェントでは天と地ほど収入に大きな差ができます。最近だと優秀なエージェントほど独立しているケースが多いようです。

 

転職に成功させた場合の彼らの報酬は、転職者が次の職場で働く年収の3割が相場になります。

 

年収1000万円以上のクラスを数名抑えておくと、一回の報酬は300万円以上になります。一度の案件で好成績を上げられるため重宝されます。しかしこのレベルのサラリーマンは絶対値も多くないし、そもそも転職市場に出てきません。

 

年収が高い優秀なサラリーマンを囲い込めればいいのですが、それは決して容易ではないため、自然と年収が低い300~400万円がターゲットになります。少し前に第2新卒というが流行ったのも、エージェントにとってマーケティングに都合がいい言葉です。

 

そしてこの層をターゲットにするとどうしても薄利多売のビジネスになります。転職者に少しでも年収を上げて転職させるよりも、数をこなして少ない労力で営業成績を上げようとします。

 

転職市場が過熱している

 

転職市場も最近は過熱しすぎているように感じます。とくに転職を斡旋する企業や個人事業主の数はもの凄い数で増えました。転職に関するダイレクトメールの数も相当な数送られてきます。ここ3~4年でそう思うサラリーマンの方は少なくないはずです。

 

エグゼグティブというワードを使っていても、わたしのような普通のサラリーマンにさえメールが飛んできます。
(ワードだけで実際にはエグゼグティブ用ではない)

 

端からみても明らかに競争過多で加熱しています。

 

現職で同僚の若い子が去年転職活動を経て、今年から別の会社に移ります。

 

1社目の企業で働いて4年程度、今回の転職で地方から都会へ移動します。条件は残業が発生しない場合はいまと同じ年収、残業が発生すると残業代分が次の企業では年収増となります。

 

転職エージェントが彼に話した内容によると、だいたい30~50万円程度今よりも収入が増えるといいます。(残業代分)

 

正直なところ、この程度の条件の違いで転職をする必要は本当にあるのかな?と思います。わたしから見れば、転職者にとってこの転職は、成功ではなく明らかに失敗案件です。理由は次の2点です。(20代の方が将来のキャリアを目標に転職する場合)

 

①地方と都会の物価の違い
②残業代が出なければ給料は変わらない

 

地方から都会へ物価の高いところに移動するため、今よりも生活水準を下げたくないのであれば、最低でも月4万~5万円、年収に換算すると48万円から60万円程給料が増えるところを探さなければなりません。

 

東京都は平均年収が623万円あるほど物価の高いところです、対して地方の平均年収というのは420万程度しかありません。物価差を換算すると転職によって大きく損をしていることになります。

 

もうひとつは残業しなければ給料が変わらないという点。

 

早いはなし、転職先でゼロからキャリアを再スタートさせるよりも、現職で残業しない働き方を見つけた方がハードルが低いです。

 

残業をする人はどこに行ってもいるので、今残業している人は次の職場でも同じようにします。残業するかしないかは、本人の気持ち次第という点が大きいです。

 

厳しい言い方をすると、必要以上に残業時間が膨らんでしまうのは、本人がきちんとスケジュール管理ができているか、厳しいスケジュールで上司から指示されたときに、論理的に交渉できるか、ということがポイントになります。

 

残業を会社の責にする人は、被害者意識が強く、忍耐力もあり頑張ればなんとかなるという根性論に走ってしまいます。

 

残業はすればするほど、時間当たりの労働単価を下げてしまいます。仕事が終わって深夜のコンビニでアルバイトするようなものなので、できれば残業はしない前提で年収を考えなければいけません。

 

残業代が出なかった場合に今と年収が同じというのはちょっと寂しい話です。IT業界はいまは売り手市場なので、本来ならば収入を上げやすい状況です。

 

この点を考えるとエージェント側ももう少し真摯に対応してあげるべきです。エージェントに一回も会う機会はなく、この同僚はすべて電話とメールのやり取りだけで次の就職先を決めたと言います。

 

直接お会いして相談していたら状況は違っていたのかもしれません。

 

転職が一般的になった世の中だからなのかもしれませんが、電話やメールだけのやり取りで、人生を左右する就職先を決めるのはちょっと安易なのかなと思ってしまいます。

 

どちらにしても、電話だけのやり取りで人を左から右に流して報酬を得る仕事は、個人的にはなしです。転職経験者や経験が長いサラリーマンなら話は別ですが、相手は転職初心者です。

 

報酬の仕組みが転職市場にモラルハザードを生む

 

彼らの報酬を見ればわかる通り、転職者の年収を上げることに彼らは労力をそれほど使いません。転職者の年収を30万円あげても彼らにカウントされる営業成績は10万円にもなりません。

 

転職者の年収を上げる交渉をして、実際にお金を払ってくれる企業の機嫌を悪くするよりも、この条件で納得してもらった方が、彼らにとってもメリットがあります。

 

少ない労力で薄利多売に走った方が、彼らも評価される仕組みになっています。評価を得て高いポジションに進むと、高単価の仕事を任せて貰えるようになります。

 

供給側のサービスが過剰になると、彼らは限られたパイを奪い合う形になるため、自然とサービスは劣悪になってきます。

 

転職サイトを開くと、残業がゼロになったとか100万円アップしたという彼らにとって都合がいい情報が溢れています。しかし彼らはサービスを提供している側だということを忘れてはいけません。

 

利害関係がある人からのアドバイスは聞かない方がいいというのは、投資の世界では鉄板です。

 

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隣の芝は青く見える理論

 

転職を考える際にいつもこの言葉を思い返すようにしています。

 

隣の芝は青く見えるとは、自分の家の芝生はその上に立って下を見るため、傷んだ場所がすぐ分かりますが、他人の家の芝生は外から眺めるために斜めに見るため、実際には芝生がはがれていてもきれいに見えます。つまり、隣の芝生は青く見えてしまうものです。

 

そこから、他人のものはたとえ中身が同じだったとしても、良く見えるという意味のことわざで使われます。同じような会社でも、他人の会社の方が不思議とよく見えてしまうものです。

 

残業ばかりで給料が上がらず現職に不満を持っていると、冷静な判断ができないため、さらに他の会社が良く映ってしまいます。企業を紹介した一枚の紙を眺めただけでも、おそろしく魅力的な会社に見えてしまいます。

 

まずは自分が何に不満を持っているのか、今いる企業では解決できる手段がないのかをしっかりと考える必要があります。

 

理想な転職にするために、まずは今の会社で自分が不満に思っている事をハッキリと認識する、その不満がここに在籍していると本当に解決できない問題なのか考える。実際にはこの時点で多くのサラリーマンは転職する理由がなくなります。

 

そして不満をしっかりと把握した上で、別の会社に移動するべきかどうか考えます。できれば不満がない状態で転職活動を行った方が、よりよい結果を得ることができます。

 

現状に不満を持っていると、冷静に物事が判断できなくなるからです。

 

株で大損して精神が不安定な状態で、新しい銘柄を探しても100%失敗するのと理屈は一緒です。

 

転職するとゼロからのスタートを切るリスク

 

転職をすると人間関係をリセットし、前職の会社がもつネットワークやツールやスキルが利用できず、入社した先でゼロからのスタートを切ることになります。

 

企業ごとに存在するであろう会社のルールや知識を、ゼロからアップデートする作業がどうしても必要になります。これは技術職でも営業職でも大きくは変わりません。

 

つまり、前職よりもパフォーマンが出しにくい不利な状況になります。転職直後で前職よりもパフォーマンスが上がらない状況で、年収が上がるのかという疑問があります。

 

この問題をクリアできるのは、それなりにレベルの高い仕事をしている上級者であり、社会に出たばかりのサラリーマンは持っていません。

 

新卒で入社したときと同じように、最初の数カ月は誰かに業務を教えてもらう必要があります。職務スキルが2~3年しかないということは、受け入れた方から見れば新人とたいして変わりません。まずはこの現実をしっかりと受け止める必要があります。

 

それでも転職をした方がいいとき

 

そうはいっても、働く場所に収入や仕事のスキルは大きく左右されるのも事実です。年齢が若いサラリーマンは転職しない方が良いということが言いたいわけではありません。

 

むしろ私の同僚のように中途半端に3~4年働いてから転職するのではなく、最初からすると決めているのであれば、今すぐにでもするべきです。

 

わたしの場合は1年半で1社目を辞め、2社目は1年で辞め、現在は3社目で働いています。転職市場がだいぶ活発になりましたがそれでも期間と回数を考えるとかなり短い方です。

 

会社は恋愛と同じで合う合わないというのが必ずあります。1社目から自分に合う企業を見つけられる人は本当にラッキーで、相性が一致する可能性は極めて低いのが現実です。もしくは、入社してみたらとんでもないブラックというケースもなくはありません。

 

そういう時は決断が命だと思っています。合わないと思ったら1年以内にでも、なるべく早い段階で次を見つけて辞めるべきです。

 

「石の上にも3年」ということわざがありますが、仕事ではこれに耳を傾けない方が良いです。忍耐強く頑張っていれば、いつかは報われていくという意味のことわざで使われますが、変化が激しい世の中で3年と言うのはあまりにも長すぎるからです。

 

この会社でキャリアを積むのが自分に合っているのか、それとも環境を変えた方がいいかは3年を待たずに決断する必要があります。そして、その場合決断は早ければ早い方がいいです。個人的には1年もあれば十分です。

 

真面目で忍耐力が強いサラリーマンほど、根性論に走ってしまい自分が置かれている状況を中々直視しない傾向になります。頑張れば報われる時がくると、無理な仕事を押し付けられてもなんとか長時間労働で乗り切ってしまおうとします。そして忍耐がどこかで途切れたところで、最終的に中途半端な決断をしてしまいます。

 

社会人になって1~4年程度であれば、いつ転職してもそれほど収入は変わりません。3年以上働いてゼロから大きなスタートを切るよりも、なるべく早い段階でゼロからスタートを切った方が今後のキャリアはスムーズに進みます。

 

決断は後回しにするべきではない

 

わたしの同僚の場合、在職3年間で赤字の部署でサービス残業で働いています。1カ月の残業時間は軽く100時間を超えているレベルです。この企業に残ることを前提にするのであれば、残業した分も長い年月をかけて元が取れるかもしれません、しかし4年経って会社を変えるのであれば、この残業して働いた分の時間とそれによって得られたお金はドブに捨てたようなものです。

 

決断を先延ばしして中途半端なことをするのではなく、ハッキリとどうするのか決断しておく必要があります。行動するのは後回しでもいいですが、決断を後回しにするのはよくありません。

 

この会社でキャリアを積むのであれば、転職活動が最低でも有利に働くまでの期間6~8年以上働く。そうではなく、キャリアを積む前に辞めるのであればムダな残業を辞めて、すぐに次の職場を探すことに労力を使う。

 

長時間労働して会社のために貴重な時間とお金を消費し、結局それを捨てるのであれば、この分はムダだったとしか言いようがありません。

 

初心者に対して経験豊富なサラリーマンは転職しやすい

 

市場が効率化して若いサラリーマンが年収を上げにくくなった分、逆に経験豊富なサラリーマンは年収を上げやすくなったように思います。これは市場がどんどん効率化しているからです。

 

供給サイドは明らかに加熱していますが、仕事をする需給サイドは減少傾向にあります。生産年齢人口が減少していることも理由ですが、賢い学生はインターネットでお金を稼ぐようになり、企業に依存する人が減りつつあります。社会人でも早期リタイアを実現している人は明らかに増えています。

 

企業からみると多少お金を多めに積んででも働いてほしい時代になっています。リーマンショックから8年経って景気が回復したことも要因にあります。

 

昨年、転職市場からしばらく遠ざかっていたため、少しだけ転職活動をしてみました。エンジニアにとって市場価値を意識しておくというのはとても重要です。

 

スカイプだけの1回の面談で地方と都会の物価を換算して、最低でも50万円年収が増えないと転職しないと話したところ、あっけなく承諾してくれました。

 

時間と労力をかけて転職活動すればもっと良い条件は見つかるだろうなと思いました。今のところ現職のキャリアでも自分には十分なため、転職しようとは考えていませんが。

 

年齢を重ねると収入源を増やす努力をするべき

 

年齢が若い20代の内は会社の給料を増やすことにエネルギーを費やすことは決してわるい選択肢ではありません。しかし、年齢を重ねてくると収入源をひとつに頼るのではなく、複数に分散する方にエネルギーを使った方がいいです。

 

そういう意味でいうと、自分の時間を作るために30歳を過ぎてからは年収が下がる転職というのも悪い選択視ではありません。空いた時間を使って、新たな収入源を作ることに労力を費やした方が成功する可能性は上がるかもしれません。

 

いくら高い収入を得ていても、それが1か所からだけの場合いつゼロになるかわからないというリスクがあります。

 

それが会社の外に持ち出せるスキルであれば問題はないですが、外に持ち出せないスキルの場合、突如収入が半分になったり、仕事がなくなるかもしれないという恐怖と常に戦うことになります。

 

外に持ち出せるスキルを身に付けておくと、そもそもひとつの会社に在籍する必要性というのも薄れてくるので人生の幅も大きく広がります。

 

そういう意味で残業というのは、ひとつの企業に依存した付加価値の低い仕事を延々とやらされることになるので、とても危険です。新しい収入源を作り出す可能性を会社に奪われてしまうことになります。

 

20代前半のうちは時間を犠牲にできても、それが20代後半や30代を過ぎてくると、耐えられなくなってきます。

 

最後に

 

転職市場が成熟したのは良いことだと思いますが、それを利用する側ももう少し頭を使って転職しないといけないなと感じています。

 

わたしは23歳の若いときに初めて転職活動をして一度失敗しています。その経験から転職活動についてはだいぶ客観的に見れているなと思っています。

 

同年代のサラリーマンで20代後半になって初めて転職活動をする人を何人も出くわします。端から見るとどうしてもっとうまくやらないのかなと思うことが多々あります。

 

たとえば、仕事で忙しいから現職を辞めたあとに転職活動を始めるとか、時間がないから1社しか面接できない、条件は良くないけどそこでいいかとか、在職しているメリットというのを理解していません。

 

最速でも転職活動は3カ月程度かかります、空白期間が長いとそれだけで給与交渉が不利に働きます。条件が今より下がれば転職しないとうい選択肢を自ら捨てます、貯金を取り崩し精神的に追いつめられると不本意な会社に飛びつきます。

 

もちろん働きながら次の職場を探すというのはエネルギーを必要とすることだというのはわかっていますが。

 

20代前半での失敗は軽微ですが、これが20代後半30代になってくると大きなロスになって響いてきます。

 

転職は収入を増やすチャンスでもありますが、逆に収入を減らす可能性も多く含んでいます。とくに年齢が若い20代の方は、この点に気を付けて転職活動をした方がいいのではないかと思っています。

 

一番良いのはサラリーマンのストレスをなくすことです

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