地方電力会社の中で唯一保有している北海道電力です。
北海道電力は2015年度大きく利益を上げました。営業利益は4300億円(前年度比807%)、純利益は212億円(前年度比624%)でした。しかし今年度は大きく利益を減少させています。
2016年度の純利益は67%減少の70億円としています。
原因はなんでしょうか。
北海道電力の10年間の株価
他の電力会社と同様に、2008年に3000円と高値を付けた株価は下がっていき、11年の震災で一気に暴落します。震災前に1800円程度で推移していた株価は600円まで一気に下がります。
現在は800円前後で推移しています。北海道電力は2015年度の決算が良かったこともあり、一時1500円まで上昇しましたがそこから一気に下がりました。下がった原因は、他の電力株と同様に廃炉・賠償費用の見積もりが倍の20兆円になると報道されたからです。
わたしが数ある地方電力の中で北海道電力に投資しようと考えたのは、3つあります。
ひとつは本州から離れた島ということもあり、他の新電力を含めた他の電力会社から参入しにくいこと、北海道電力の原子力発電所は柏発電所の1〜3号機だけなので、一度審査に合格したらすべての原発が再稼働できること、原発の依存度が4割と他の電力会社と比較して高いことです。
すでに原発が再稼働し始める九州電力よりも、まだ再稼働していない北海道電力を仕込んだ方がより儲かるだろうなと考えてからです。
しかし、北海道電力は他の電力会社に比べて少し株価が重くなかなか上昇していません。
北海道電力の過去5年間の財務状況
参考:北海道電力ホームページ
北海道電力も他の電力会社と同様に順調に回復を続けています。売上高が上昇を続けるのは電気料金の値上げをしているからです。売上高の上昇につられて、営業損益、経常損益、純利益は改善しています。
電気料金を上げすぎた北海道電力
2015年度は大きく財務を改善させたのですが、少し電気料金を上げすぎた印象があります。
以下のコラムによると、震災以降電気料金が1番上がっているのは北海道電力になります。
エネチェンジ
電力会社別、震災後の電気料金値上げ率ランキング | エネチェンジ
たとえば、一般家庭向け電気料金値上げ率の1位は北海道電力は24%、2位は関西電力の18%、3位は東京電力の8%です。
オール電化向け夜間料金値上げ率によると、1位は北海道電力57%、2位は関西電力の43%、3位は中部電力の40%です。
福島の廃炉費用が膨らむ東京電力よりも大幅に電気料金を値上げしています。
北電は再三電力料金を値上げしています。本州と離れていることもあり、他の電力会社よりも地域独占企業の色が強いからです。四方八方から新規参入者が来るかもしれない東京電力と比較して、実質他の電力会社が北海道に侵食する可能性があるのは東北くらいです。
そういうこともあってか、2016年度の決算は下方修正されています。日本経済によると、新電力に切り替える顧客が半年で4.8倍に増加しています。販売電力量が6%減少したことに連られ経常利益は8%減少しています。
日本経済新聞
これだけ電気量気の値上げが続くとしょうがないのかなと思います。一般電気向けに至っては東京電力の3倍料金が値上がりしています。オール電化に至っては震災前の1.5倍です。さすがにこれだけ上昇すると生活を圧迫してきます。
どちらも原発が再稼働していないことを考えると、コスト削減の差がもろに出ている印象です。
意外と首都圏内の新電力の切り替えは進んでいません、全体の2%と軽微です。あれだけ東京電力の風評がすごかった東京電力よりも北海道電力の方が切り替えが多いことを考えると、やはり人は金銭的な理由で動くんだなと思いました。
こうした理由で2016年度の北海道電力の当期利益は大きく落ち込むことが見込まれています。
参考:Yahooファイナンス
電気料金に苦しむ北海道民
寒さの厳しい北海道電力はとくに冬に電気や石油を消費します。電気料金の値上げは家庭の電気料金に直撃します。
どれくらい家計に直結するのかというと、2014年1月電気使用量が2249kw、払った電気料金は3万5980円です。そして2015年1月電気使用が2022kwに対して払った電気料金は4万2025円となり、6135円も増加しています。
オール電化の家庭からすると、この電気料金の高騰はかなり厳しいです。そのため北海道内では新規電力への切り替えが進んでいます。
原発が再稼働したあとに電気料金は下がるのか?
こうした事もあり、北海道電力の経営人は穏やかな状況ではありません。
ただ、新電力に切り替える方が正しいのかどうかは正直難しいところです。
これだけ電気料金が高騰しているのは、北海道電力が原子力に頼っていたところが大きいからです。冬は寒さが厳しいため石油資源に依存してしまうと、為替や海外の原油価格に大きく左右されてしまいます。そのため、北海道電力では原子力に依存する割合が自然と高まりました。
現状は高くてしょうがない電気料金ですが、問題は原発を再稼働してあとにどれだけ電気料金が下がるかとう事です。
北海道電力が無視できないほど、家庭向け電力が新電力に流れてしまうと、当然北海道電力は電気料金を下げてきます。
電気料金が高いからという理由で新電力に移行したのであれば、同じ理由で今度は北海道電力に戻ってきます。価格競争で勝負をすると、原発を持たない規模が小さい新電力は既存の電力会社に勝つ事はできません。
たとえ、人件費をぎりぎりまで削って電気料金を下げたとしても、現在底値をつけている原油価格が上昇してしまえば、原発を使って発電する北海道電力に勝てなくなります。
今後、新電力がどれだけ普及するかどうかは、原発再稼働後の電気料金次第になります。震災前まで電気料金が下がるとは思えませんが、今ほど高値をつけるわけにもいかなそうです。