安定したセミリタイア生活を送るためには、ある程度まとまった額の資産を持ち、できれば株の配当金などで不労所得を得たいところです。
資産も不労所得もないままでセミリタイア生活に突入してしまうと、いつお金を失うかもわからない恐怖で、落ち着いて生活することができません。お金がなくなればまたサラリーマン生活に逆戻りすることになります。
これではセミリタイア生活を十分に楽しむというよりも、時限爆弾を背中に装着したまま生活するようなものです。
サラリーマンの再出発が難しい日本社会では、確実に年収は下がるためセミリタイアはリスクが高いといえます。仮に現在500万円の年収を頂いていたとしても、下手をすると350万円以下で働くことになるかもしれません。
景気が下向いて再就職先が見つからなければ派遣で働く、それでも良い仕事が見つけられない場合は介護職に流れる可能性もあります。
そうならないためにも、セミリタイアを目標にするのであればいくら必要になるのか、またそれを実現するために具体的に試算しておく必要もあります。
お金はたくさんあるに越したことはないのですが、仮に40歳、3000万円の資産でリタイアすると想定した場合、どれくらいの積立金、運用益が必要になるのか計算してみました。
- 資産3000万円でセミリタイアする場合
- セミリタイア後に海外で暮らす場合
- たとえ収入がまったくなかったとして
- 金融資産500万円から3000万円へ
- 運用益を15%に増やす戦略
- 毎年の積立金を200万円に増やす戦略
- 積立金を150万円にした場合、年利で8%必要
- 資産が多い方がいいけど少なくてもセミリタイアはできる
資産3000万円でセミリタイアする場合
まずは資産が3000万円あるとすると、どれくらいセミリタイア生活に余裕が生まれるのか想像してみました。
仮に3%の配当金に全額投資した場合、税引き前で毎年90万円の配当金を得ることができます。これを月に換算すると7~8万円の収入になります。
物価の高い東京に住んでいると、これだけの収入では生活が成り立たないのですが、たとえば郊外のシェアハウスに暮らすとか、地方の安い賃貸が安い物件に住めば、元金を減らさずになんとかぎりぎりで生活できそうな金額です。
もしも毎月の収支がマイナスになるようであれば、アルバイトをするなど別の収入源を持つ必要があります。資産を切り崩す生活はやはり避けたいところです。しかし、余裕がないからといってフルで働いてしまえば、なんのためにセミリアタイア生活を始めたのかわからなくなってしまいます。資産を切り崩さなない程度に働くべきです。
仮に時給800円で1日に4時間、週5で働けば配当収入の他に6万4千円の収入を手にすることになります。これと配当収入を合わせると13~14万円の収入になります。
セミリタイア後に海外で暮らす場合
上記の例は日本に暮らした場合の例ですが、海外を視野に広げると一気に選択しは広くなります。
海外の物価が安いところに移動すれば不労所得だけでも楽に生活をすることができます。サラリーマンの夏季や冬季休暇と重ならなければ、渡航費もたかが知れています。場所にもよりますが、往復で3~4万円で行くことができます。
ちなみにわたしは実家に帰省するために3万円の運賃を払っているため、移動費だけみると海外へ行くのとそう変わりません。
どれくらい生活が楽になるかというと、たとえば最近話題の最貧国ミャンマーに行ったとします。ミャンマーは大学卒の初任給ですら1万5000~2万円程度しかありません。
7~8万円の収入だと日本に住んでいたら最低限の生活しかできませんが、ここに来ると大卒の3倍近い収入になります。これだけあれば、それなりに裕福で優雅な暮らしを満喫することができます。
海外に住む場所を選択する上で注意しなければならないのは、インドや東南アジアの都市部に住んでしまうと、日本と比べて物価はもうそれほど安くないということです。ボロい外国人向けのレストランに入ったとしてもそれなりの金額になります。
言葉が通じず、社会インフラが十分に整備されていない海外に住んで、無理に生活水準を落とそうとすると、日本に住んでいるよりも、かえってストレスのかかる生活を送ることになります。
たとえ収入がまったくなかったとして
不労所得がない状態でのセミリタイア生活は想定していませんが、仮に収入がまったくなかったとしても、月に8万円で生活した場合、3000万円資産があれば30年間生きていくことができます。
その頃には70歳になっていますが、会社を離れ30年間も自由に暮らすことができたのなら、もう十分満足しているかもしれません。65歳まで会社の奴隷として働いた場合、70歳を迎えるまでに自由になれるのはわずか5年しかありません。
65歳以降をお金がある状態で定年退職し楽しむのか、それとも40歳で多少お金がなくても元気な状態で自由を楽しむか、人それぞれの価値観によりますが、わたしなら後者の方が満足度は高いと考えています。
その頃には安楽死も合法になっているかもしれません。人生を楽しく過ごすコツは、先のことを深く考えすぎないことです。
金融資産500万円から3000万円へ
現在30歳、株式投資を始めてから3年、資産は500万円まで増やすことに成功しましたが、10年後にはいくらになっているのでしょうか。今と同じ水準で10年経過した場合、40歳で資産がいくらになるのか計算してみました。
金融資産は現在のところ以下のように推移しています。
2013年、130万円
2014年、236万円(年比+80%)
2015年、362万円(年比+53%)
2016年、518万円(年比+43%
だいたい平均すると130万円ずつ資産が上昇しています。勤労所得による貯蓄分が100万円、投資で20~30万円ずつ増えていることになります。
現在のサラリーマン収入は510万円程度ですが、これが10年間変わらないものとします。そうすると今の延長で資産が増えた場合、10年後の資産は以下になります。
2017年、650万円
2018年、780万円
2019年、910万円
2020年、1040万円
2021年、1170万円
2022年、1300万円
2023年、1430万円
2024年、1560万円
2025年、1690万円
2026年、1820万円
年間で130万円ずつ資産を増やすことに成功した場合、40歳で1820万円の資産になります。40歳で1820万円というと、決して悪い金額ではないのですが、目標の3000万円まで1180万円足りないことになります。
1180万円を埋めるために、いくら積み立てる必要があるのか、また投資でどれだけの運用益が必要なのか考えなくてはいけません。これが投資を行う上での戦略のベースになります。
手持ちの資産は500万円、運用益が5%だった場合
①積立金100万円、1958万円
②積立金150万円、2339万円
③積立金200万円、3597万円 ★
手持ちの資産は500万円、運用益が10%だった場合
④積立金100万円、2624万円
⑤積立金150万円、3476万円 ★
⑥積立金200万円、4229万円
手持ちの資産は500万円、運用益が15%だった場合
⑦積立金100万円、3666万円 ★
⑧積立金150万円、4631万円
⑨積立金200万円、5573万円
仮に5%の運用益を上げることができ、毎年100万円積み立てることができれば資産は2000万円になります。これでは目標の3000万円に届かないため、積立金を増やすか、運用益を上げるか、もしくはこの両方をあげることを検討する必要があります。
運用益を15%に増やす戦略
積立金の100万円を増やさずに、3000万円達成するためには、⑦で示すように運用益を15%にする必要があります。
投資の世界ではこの15%というのは、非常に高い利回りになります。たとえば日本経済の成長率はここ数年1%を超えればいいくらいです。2%を超えることさえほとんどありません。
先進国の中でもアメリカは、バブルと言われるくらいここ最近高成長を記録していますが、それでも6.8%という成長率です。プロの投資家でさえ市場平均を上回れないファンドが多いという事実があることを考えると、過度に過信して高い利回りは狙わない方がいいです。
高い利回りを狙いにいくと、自然とリスクが高い投資法になります。一発当てて1年そこらで資産を2~3倍にする可能性は十分ありますが、一度の失敗で全財産を失うこともありえます。これでは40歳になる前に資産を減らしてしまうリスクさえあります。
運用益をどれくらい目指せばいいのかというと難しいところですが、わたしは年間で5%上げることができたら、それだけで十分だと考えています。
資産が100万円しかないときの運用益5%は5万円にしかなりませんが、資産が500万円あれば25万円、1000万円あれば50万円と次第に資産が膨らむようになります。
まずは5%を目指してコツコツと資産を積み上げるべきです。
毎年の積立金を200万円に増やす戦略
運用益を増やす方法は難しいため、積立金を増やす戦略を検討してみます。
③で示すように、運用益5%を維持したまま、毎年の積立金を200万円まで増やした場合、10年後には3000万円達成することができます。
積立金を200万円に増やすためには、毎月いくらお金を手元に残しておく必要があるのでしょうか。
現在、夏と冬と決算賞与を含めて手取りで100万円、欲しいものはないためすべて投資資金に回しています。そうすると残りは毎月の給料から捻出します、毎月8~9万円のお金を手元に残さなくてはなりません。
今の生活水準でこれだけのお金を残すのは現状無理です。シャアハウスのドミトリーに住むことによって家賃を最小限に抑えていますが、月に5~6万程度お金が残ればいい方です。これ以上無理に節約しようとすると逆にストレスになってしまいます。
現実的に200万円の積立金は難しく、150万円が妥当なラインになります。
積立金を150万円にした場合、年利で8%必要
積立金で最大150万円、運用益はできるだけ低くとした場合、年利を8%程度で回す必要がでてきます。運用益を5%から8%に伸ばすためには、どうすればいいのかという話になります。
5%は株の値上がりによるキャピタルゲイン、足りない残りの3%は配当金によるインカムゲインを狙いに行くのがいいのかなと考えています。たとえば、日本の株式は配当金は高くない傾向になりますが、現在資産の大半を割り当てている震災前の電力株は、元々3%前後が配当利回りの目安になっています。
震災前の水準まで復配している電力会社は多くはないですが、いずれは3%程度まで戻すことが期待できます。電力関連の銘柄に投資し、株価値上げによるキャピタル5%程度と復配によるインカム3%程度を狙っていくのが、一番理に叶ったやり方かもしれません。
もちろんキャピタルゲインというのは、どうなるかわからないので計算すべきものではありません、目標というよりはただの期待値です。あくまで40歳までに3000万円の資産を作るために、どれくらいの運用益が必要なのかとう目安になります。
目標から逆算した場合、以下の設定値が見えてきます。
投資10年
毎年積立金150万円
運用益5%
配当利回り3%
資産が多い方がいいけど少なくてもセミリタイアはできる
40歳で資産が3000万円というのはあくまで目安にしかすぎませんが、実際にはそれよりも早くセミリタイアするのもありだと思っています。
資産が大いにこしたことはありませんが、たとえば1000万円しかなかったとしても、生活水準よりも収入が多ければそれで十分です。
仮に一か月の生活水準が8万円、1000万円の配当金が月に2万円、ブログによる収入が3万円、あとはバイトで3万円でも十分です。
生活費の高い日本でアルバイトをして働くよりも、アジアの最貧国に行けば3万円でも十分に生活することができます。
副業で稼げるお金が増えてくれば、徐々に生活費が高い国に移動するというのも楽しそうです。
2016年度東京電力の決算
2016年度九州電力の決算