2016年のテンバガーを検証してみたら2倍株ですらひとつもなかった

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2017年も4分の1が過ぎました。今年こそは10倍株を当ててやると意気込んでいる個人投資家も多いです。

 

10倍株を発掘することができれば、10万円しか資金がなくても100万円、100万円資金があれば1000万円まで資産を増やすことに成功することもあり、ネットを調べると相変わらず「2017年テンバガー」で特集を組んでいるコラムがたくさん見つかります。

 

自分で膨大な時間を使って銘柄を研究するよりも、その道のプロに選定してもらったら的中率が上がると考える人は少なくありません。

 

毎年のように見かけるコラムですが、実際にはどれくらい的中率があるのでしょうか?

 

テンバガーを狙う戦略を採用するのであれば、的中率は一番重要になってきます。

 

結論からいうと、2016年1月に選定したテンバガーのコラムを検証してみたところ、10倍に化けたのはゼロ、2倍株になった銘柄ですらひとつも見つかりませんでした。

 

的中率がどれくらいあると元が取れるのか?

 

10倍株を狙いにいくという事はリスクが高くなるため、10社銘柄選定されていればそのうちの1つくらいは当たってほしいところです。

 

100万円の投資資金があり、10銘柄選定してその内の1銘柄が10倍株、その他の銘柄が半値まで下がったとします。そうすると1年後の資産は145万円になり、パフォーマンスは+45%になります。

 

145万=5万x9(銘柄)+10万円x10(10倍株)

 

20銘柄選定してその内の1銘柄が10倍株、その他の銘柄が半値まで下がった場合はどうでしょうか?

 

97.5万=2.5万x19(銘柄)+5万円x10(10倍株)

 

実はこれだと10倍株を発掘することができたとしても、マイナスになってしまいます。


テンバガーを狙いに行く投資スタイルがリスクが高い理由は?

 

日本の上場株式は3500銘柄以上ありますが、2016年にテンバガーになったのはわずか3銘柄、2015年には2銘柄しか見つかっていません。

 

このことからもわかるように10倍株を見つけるのは容易ではありません。

 

2016年の場合は1166社のうち1社、2015年の場合は1750社のうち1社だけです。2016年は上がり相場、2015年はどちらとも言えない相場です。

 

確立が低いものを狙いに行こうとすると、リスクの高い投資になってしまいます。

 

競馬やカジノの行けばわかるように、オッズが高いものは当たる確率が低く、一発逆転を狙うようなやり方をしなければなりません。

 

投資で10倍株を狙いに行こうとすると、時価総額が小さく変動率が高い小型株を狙う必要があります。大型銘柄は大きく動いても週に10%程度ですが、小型銘柄は何らかのニュースで1週間に倍になるとうことも珍しくありません。そのかわり1週間で2分の1、1か月で4分の1になるなどお金を失うリスクも高くなります。

 

何かのニュースをきっかけで小型銘柄は爆発する可能性があります。たとえば、2016年はポケモンGOが大流行しましたが、任天堂などの大型銘柄ではなく、この製品を開発したソフトメーカーが上場している小型銘柄だった場合に、大きく跳ね上がるチャンスがあります。

 

このニュースが出てから銘柄を買うと、すでに爆上げしているあとなので、流行が終わると同時に株価は乱降下するリスクがあります。

 

9銘柄中、何銘柄が10倍株?

 

ZUU online編集部が、2016年の1月にテンバガーについて特集をしました。これは2016年にアクセスが多かった記事です。

 

テンバガー(10倍株)銘柄を大胆予測!2016年に注目の9銘柄

テンバガー(10倍株)銘柄を大胆予測!2016年に注目の9銘柄 | ZUU online

 

この銘柄が2016年間に10倍になったのか、1年後にはいくらになったのかを調べてみました。

 

結果は以下になります。

 

2016年のテンバガー株銘柄達成のキーワードは「マイナンバー」

・ITbook <3742>
官公庁向け主体のITコンサルを主体としてきた同社だが、最近は民間向けにも対象市場を拡大。
605円→395円(-35%)

 

・ジャパンシステム <9758>
同社は米HPの孫会社となる中堅システム会社。NTTデータの2次請け開発に加え、自治体支援ソフトを柱としている。
482円→385円(-21%)

 

ドローン関連株銘柄

・イメージワン <2667>
自社で開発を手掛けている医療画像システムを主事業としており、ドローンの航空画像には強力なノウハウの背景を持つ。
580円→357円(-39%)

 

・デジタルメディアプロフェッショナル <3652>
研究開発型である同社は、自社では生産設備を持たず、外部の協力企業に100%生産委託をしている、典型的なファブレス半導体企業だ。ドローンの航空画像に効果的な描画ノウハウを持つ。
2061円→2410円(+16%)

 

・ドーン <2303>
地理情報システム構築ソフトの「ジオベース」をリソースとしたソフト受託開発を主力とする同社は、ドローンに役立つ情報の宝庫だ。
977円→1725円(+76%)

 

・ビーマップ <4316>
JR・道路など交通関連、位置情報、画像配信サービスを展開する同社は、ドローンへの応用が考えられる無線LANシステムの構築事業を拡大中だ。
560円→570円(+1%)

 

・エヌアイシ・オートテック <5742>
生産設備用構造材の「アルファフレーム」に代表されるアルミの加工技術は、軽量が必須条件のドローンに不可欠だ。
639円→908円(+42%)

 

その他の注目株銘柄

・スペースシャワーネット <4838>
伊藤忠傘下のCS・ケーブルテレビ向け国内最大級の音楽専門番組供給事業者の同社は、フジと提携している。
444円→629円(+41%)

 

・レイ <4317>
イベント、展示会、テレビCM等の企画、映像制作や編集を行う同社は、映像機材レンタルも手掛けている。
269円→262円(-1%)

 

結果をまとめると、2倍株ですらひとつもない

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10倍株を達成したのは、0/9社
 3倍株を達成したのは、0/9社
 2倍株を達成したのは、0/9社

 

プラスで終えた銘柄は5社、マイナスで終えた銘柄は4社でした。

 

1銘柄だけ+76%とハイパフォーマンスを記録しましたが、10倍株には遠く及びません。

 

全体のパフォーマンスは+80%と意外に高かったものの、10倍株を狙ってリスクの高い投資をしている割には、2倍株ですらヒットすることができませでした。

 

2016年はトランプ相場ということもあり、17500円から19500円まで市場平均が上昇したことを考えると物足りない結果になっています。

 

下げ相場であればリスクの高い手法は、大きく資産を減らしていた可能性があります。

 

10倍株は当てられないけどハイパフォーマンスを狙う?

 

10倍株を狙っても2倍株ですら当てられなかったというのは事実としてあるのですが、全体のパフォーマンスは思いのほか好調でした。

 

しかしながら、リスクが高いやり方には変わらないため10倍株を狙ったやり方は個人投資家は避けるべきです。

 

時価総額が小さいものを銘柄の対象にするということは、流動性が低くボラティリティ(変動率)が激しく上がるときは上がりますが、下がるときは強烈に下がります。

 

リスクが高いというのは先ほど述べた通りですが、その他にもタイミングよく売買できないという問題と、手数料や利益を確定した場合に支払うお金を考慮しなければならないからです。

 

まず、小型株は長期投資には向きません。そのためどこかのタイミングで売買しなくてはいけません。短期投資で勝負するのであれば、明確な売買のルールを決めておく必要があります。

 

⇒感覚でやると100%負けてしまいます

 

期待に反し損を出した銘柄は売ることになります。20%下落したら売るのか、半値になったら売るのかルールを決めておく必要があります。

 

損を出している銘柄はいいですが、利益を出している銘柄はどこで売るのかが難しくなります。

 

10倍株を期待して購入した銘柄ですが、ずっと持ち続けることはできないためどこかで売らなくてはいけません。選定した5銘柄がプラスに転じましたが、どのタイミングで売ることができるでしょうか?

 

10倍株にならないため持ち続けるか、それとも期待通りに動かないものの2倍まで待ち続けるか、それともプラス50%で売り抜けるか、こういうことを考え続けなくてはいけません。2倍株になるまで待ち続けても、期待通りに動かず気付いたらマイナスになったということもあります。

 

2倍株になるまで待つことができればいいですが、実際には20~30%上がっただけでも利益を確定したくなって売ってしまいます。ほかに損を出している銘柄はたくさんあるので。

 

小型株は値動きが激しいため、運よく2倍になってもその翌月には、半値まで下がることも珍しくありません。

 

そもそも10倍株を目指すやり方は、10倍株を発掘できれば他のマイナス分の銘柄を打ち負かして全体のパフォーマンスをプラスにしなくてはなりません。

 

こうしたことを繰り返していると、損を出す銘柄は積み上がり、プラスだった銘柄も期待通りに上昇せず少し利益が出ただけで売ってしまうか、持っているといつのまにかマイナスになって売却、ということになります。

 

利益が出ている銘柄を売ると売却益に2割の税金が掛かりますが、損をしても税金分は救済されません。また売買数が増えると手数料もかさみます。

 

こうしたことを考えて投資戦略を組むと、をそもそも10倍株を狙いにいくこと自体が時間の無駄だったということになります。

 

同じような理由で、2倍株、3倍株を狙いに行くのもあまり意味はありません。程度の差こそあれやっていることは基本的に同じだからです。

 

10倍株はギャンブルと変わらないやり方

 

これは端からみるとギャンブルをしているのとあまり変わりません。

 

競馬であれば、万馬券を得るために数10頭の中から1頭を選びますが、10倍株の場合は3500社の中から2~3銘柄を拾うことになります。

 

10倍株を狙いに行けば、2倍株、3倍株を拾えるというのは2016年の結果からもわかるようにウソです。10倍株を引けないのはわかりますが、2倍株ですら引けていません。

 

2017年のテンバガー特集も組まれていますが、2016年の特集を見てわかるようにプロが選んだとしても当たるわけではありません。

 

競馬のプロがいくらデータを集めても必ず勝てるわけではないように、投資の世界でもプロがデータをかき集めたら勝てるというわけではありません。

 

株式投資は一度に10倍になる銘柄を探すよりも、複利や配当金を狙い、安定して5%程度の運用益を狙った方が確実に資産は増えています。

 

リスクの高いやり方をしていると、大きな調整局面を迎えた時に資産をすべて吹き飛ばしてしまいます。

 

まずは口座開設

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テンバガーを狙うと失敗します

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シャープで3倍株達成した話

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