東京電力の柏崎刈羽原発、年内再稼動へ

 

年内再稼動へ

 

2016年8月24日、東京電力の株が5%上昇しましたが、翌日以下のニュースが流れました。

 

「柏崎刈羽原発を優先審査、規制委 福島第1と同型、年度内合格も」

 

記事の内容によると、原子力規制委員会が、柏崎刈羽原発を優先的に審査している事を、平行審査中の電力会社に伝えたとあります。これだけ聞くと何も目新し事はないですが、このニュースが原因で株価が「5%」も上昇したというのは、少々驚きです。

 

東京電力の原発が優先的に審査されているというのは、だいぶ前から言われていることです。また、数年前から東京電力は、2016年夏に再稼動を予定していると、発表しているのに、すでに大幅に遅れています。

 

この記事によって、これだけ上昇したということは、東京電力の原発が再稼動すると思っている人が、まだまだ少ないことを表しているのかもしれません。

 

いずれにせよ、記事の内容が本当であれば、年度内の柏崎刈羽原発の再稼動が現実味を帯びてきました。原子力規制委員会が、他の審査中の電力会社に伝えたということは、次の審査合格の発表は、東京電力ということになります。

 

世界最大の原子力発電所

 

東京電力の柏崎刈羽原子力発電所は、1号機から7号機までの7基の原子炉を有し、合計出力821万キロワットと世界最大の原子力発電所です。

 

今回の優先審査の対象である、6号機と7号機は比較的新し発電所で、それぞれ出力は「135万キロワット」と高出力の原発です。

 

1基当たり稼働した場合、月の利益を「100億円」程度押し上げていると言われているので、2基で月に「200億円」、年間で「2400億円」の利益を上げることができます。(原発は停止していても、稼働していてもコストはかわりません)

 

直近の四半期の東京電力の純利益は、「10億円」、原子力損害賠償費に「1199億円」計上しているので、これは十分に利益を押し上げます。

 

東京電力の公式ホームページを見ると、1~5号機も定期検査中とあるので、いずれは柏崎のすべての原子力発電所を再稼動することを前提にしています。

 

東京電力の株価推移

 

2012年に底値の「128円」、2013年おわりに「470円」と回復し、2014年に「400円」前後で推移、2015年には高値「890円」まで急上昇しました。

 

現在は、年明けから急激に下がり「380円」前後で推移しています。再稼動する前の今が、安値で東京電力の株を買う最後のチャンスになるかもしれません。

 

2017年を過ぎてしまうと、東京電力の投資は旨味が完全になくなってしまいそうです。

 

東京電力の平均年収は、事故発生前の「761万円」から発生後は「619万円」と大幅に下落しています。これに加えて、停止している原発まで再稼動すると、圧倒的な競争力を持ち、東京ガスや他の新規参入者は比較にならない程不利な状況に陥ります。

 

電力自由化の最有力対抗馬である、東京ガスの平均年収は「663万円」です。

 

電力会社のガス供給参入へ

 

2016年は電力自由化により、主要ガス会社が電力業界に参入してきましたが、2017年4月からはガス自由化によって、主要電力会社が参入していきます。

 

電力会社にとって、ガスの供給は電力の供給程複雑ではないため、ガス会社にとって圧倒てきに不利な状況です。事実、主要電力会社は、火力発電用に調達している天然ガスをそのまま流用する予定です。

 

差別化をはかれない資源を供給するため、仕入れ規模が大きく安価で資源を仕入れた方が有利です。東京電力の売り上げ規模は、「6兆円600億円」、対する東京ガスは「2兆3000億円」なので、これはガス会社に圧倒的に不利な状況になります。