電力会社は圧倒的な地域独占企業 電力自由化の切り替えは「2%」のみ

電力会社に投資する上で、ターニングポイントは「電力自由化」と「原発再稼動」の2つです。

 

原発再稼動は、自民党政権が政権を取った時点で再稼動することを前提で動いています。

 

原子力のエネルギー比率は20%以上

 

2015年6月1日の政府が開いた総合資源エネルギー調査会によると、2030年の電源構成は以下のように発表されています。

 

・再生可能エネルギー22~24%
・原子力20~22%
・石炭火力26%
・天然ガス火力27%
・石油火力3%

 

火力関連で「56%」とですが、原子力「20%」以上のエネルギーを想定しています。これは、現在審査中の原発が再稼動した場合の数値とほぼ一致します。

 

政府は原発が再稼動することを前提に動いていることがわかります。産業界も電力コストを下げることが、企業の国際競争力強化につながるとして原発の適切な活用を求めています。

 

各電力会社が再生可能エネルギーによる投資を加速させるためにも、原子力による経営の改善は必要不可欠です。

 

電力自由化の移行はわずか2%

 

もうひとつのターニングポイントは、2016年4月開始の「電力自由化」ですが、これもある程度結果が見えてきました。

 

自由化から3カ月で、電力契約切り替えた消費者は、全体のわずか「2%」(総契約数6260万件)に留まっています。

 

東京電力管内が76万件といちばん多いですが、それでも、管内全体の2700万件と比較すると、「2.8%」のみです。

 

東京電力は電力自由化以前から、管内2700万世帯の2割にあたる500万世帯は、新電力などの新規参入者に流れると予想していました。結果は、東電の予想よりもはるかに小さいです。

 

今後、どれくらい他の電力会社にシェアが奪われるかですが、かなり限定されると予想しています。

 

経済産業省など政府機関は、他業種からの参入を期待していますが、電力会社は典型的な資本集約型の業界であるため、他業界からの参入は容易ではありません。

 

新規参入者が既存の電力会社に太刀打ちできるほど、電力事業は単純な世界ではありません。比較的参入しやすい東京ガスでさえ、自由化開始前で24万件、開始後もほとんど伸びていません。

 

そうなってくると、電力会社が各管轄内を超えて他エリアに侵入してくるかですが、これも限定的になると予想しています。電力会社は各エリアごとで地域独占企業という旨味を十分に活かしているため、そのリスクを負ってお互いが顧客を取り合うとは考えにくいからです。

 

表面上は争っているように演じるかもしれませんが、暗黙で他エリアの侵入は限定しそうです。

 

電力事業は、利益を最大限得るとしたら安く資源を仕入れて、販売することです。中部電力と東京電力のように提携して、一括で他国から資源を購入した方がお互いメリットになります。

 

2017年にガス自由化開始

 

2017年からは、ガスの販売が自由化が開始します。この場合は、東京電力が東京ガスのエリアに攻め込む番です。東京電力は、ガスと電力のセット割を武器にして侵入するチャンスになります。

 

東京ガスは、東電の参入によって「2~3割の顧客を奪われるだろう」と予想しています。

 

東京電力からしたら、電力で輸入したガスを既存の顧客に販売するだけなので、それほど難易度も高くなく容易に参入することができます。

 

東京電力の売り上げ高は「6兆円」規模、東京ガスは「2兆2000億円」なので、企業規模が大きく一括して資源を安く輸入できる東京電力の方が圧倒的に有利です。

 

東京電力の原発は年度内に再稼動

 

「電力自由化」と「原発再稼動」の問題がよりクリアになったことで、今後も電力会社の株価は上昇していく事が予想できます。

 

原発の再稼動は、再稼動するかしないかではなく「いつ動くか」です。福島の原発事故を起こした東京電力が、福島と同じBMWの柏崎刈羽原発を再稼動した場合、他の電力会社も加速度的に再稼動が進んでいく事が予想されます。

 

柏崎刈于原発の第6、7号機は、優先審査に割り当てられているため、今年度内の再稼動が予想されています。