相場が不安定なときは「何もしない」事が一番のリスク回避になる理由

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株式投資に見逃し三振はない

 

株式投資を始めたばかりの初心者が陥りやすい罠、というのがいくつかあります。

 

初心者の方は、「相場の波に乗るため」「危機に対処するため」、常になにかをしていないと落ち着かないものです。また人間は常に、自分は正しく物事をコントロールできるという過信が少なからずあります。

 

世界一の投資家ウオーレン・バフェットは、以下のようにいいます。

 

「株式市場に見逃し三振はありません。投げられる球、投げられる球、全てを振らなくてよく、いい玉を待ち続けられるのです。問題はもしあなたがトレーダーだと、あなたのファンが仕切りに「振れ!馬鹿野郎ー!」と野次ることです。」

 

何もしないくていいというのは、ライバルが自滅するのを待つ事

 

バフェット氏が言うように、「何もしなくていい」というのは個人投資家の一番の特権です。同じことを、ファンドに雇われたプロの投資家はすることができません。

 

ライバルたちが勝手に自滅してくれると、それはチャンスに代わります。

 

大切なお金を顧客から預かる機関投資家は、常に何かをすることを求められます。危機が起きた時に何も対処しなかったら責任を追及されるし、チャンスを逃して儲けることができなくても責められます。

 

「何もしなくていい」というのは、実は一番有効なリスク回避になります。

 

例えば、先日アメリカ大統領選挙や、イギリスのEU離脱で大方の予想に反した結果になったため、世界中の株式市場が大きく揺れました。

 

選挙中にマーケットが動いた日本市場は、1日に10%近く揺れました。

 

こういう時に、結果がどうなるかを予想し、どちらかに賭ける必要は一切ありません。イギリスが離脱するから、クリントンが大統領になるから、という理由で銘柄を変えるようであれば、そもそもその銘柄選択事態が間違っていたことになります。

 

もしもあなたが長期投資家になり、お金持ちを目指すために投資を始めたのであれば、やり方自体が間違っていることになります。

 

他の個人投資家の売買を見ると、イギリスの国民投票が始まるから、これとこれの銘柄をすべて売り払ったとか、トランプ銘柄を買うために別の銘柄を売って資金を集めたとか、リスクヘッジしたとか、何かしらの対処をしようとする投資家は非常に多いです。

 

1日中市場を観察しているプロの機関投資家でさえ、どうなるかわからないことを、サラリーマン兼投資家の方が、柔軟に対処できるほど甘い世界ではありません。

 

対処できたと思っても対処できていなかったり、予想が外れると大きく損をしてしまいます。

 

ジッとしてられず、どちらかに賭けたいという欲求があるのであれば、素直にカジノに行ってお金を使った方が良いです。投資の世界にギャンブル性を求めると必ず負けます。

 

なぜ投資家が先のことを読むと危ないのか?

 

なぜ先のことを読んで行動するのがダメなのでしょうか?

 

理由はいたって単純で、先のことを予想しても、どうなるかは誰にもわからないからです。サイコロを転がしてどうなるかを「予想」することは誰でもできますが、「的中」させることはできません。

 

「的中」させることができるのであれば、それは詐欺師かイカサマをしているだけです。


投資の世界もこれと同じです。なぜか人間は、自分ならわかるという錯覚に陥ります。

 

下手に予想が的中してしまった時ほど、怖いものはありません。最初の賭けは、不安だったため掛け金を少なくしたが、次は自信が付いたため、より掛け金を増やします。次も的中してしまうと、3回目は自分の全財産を賭ける程自信家になります。

 

周囲にも自信満々で、次はこうなると話すようになります。そしてこの大きな賭けに失敗してしまうと、再起不能レベルで市場から退場させられます。

 

1回目にサイコロの目を的中させる確率は6分の1ですが、次も的中させる確率はさらに低くなります、さらにその次も的中させることはさらに低くなります。

 

自分に過信してしまうと、中学生レベルの数学の確率さえ、満足に応えれなくなってしまいます。

 

長期投資家は先出しジャンケンではなく、後出しジャンケンでいい

 

アメリカ大統領選挙の時よりも、イギリスの国民投票の方が、意外性が高く株式市場にショックが大きかったように思います。日本市場は金曜日に10%近く下げ、次の翌週には元の水準まであっさり戻りました。

 

アメリカ大統領選挙のときは、日本市場だけが大きく上下に動きましたが、他の先進国はそれほど動いていません。

 

先のことを予想しようとすると、ここでは3つの危険がありました。

 

①国民投票で「残留」に掛けて、投票前に株を買い増す
②金曜の暴落を見て、リスク回避で持ち株を減らす
③週末に悲観的なニュースを見て、さらにリスク回避で持ち株を売る

→金曜の日本市場が暴落したのを見て、週末のニュース番組は、EU離脱を特集する番組が多かったです。

 

しかし、翌週には大方の予想を裏切って、大きく株価は上昇しました。そもそも「離脱」に賭けた個人投資家さえ少なかったのが事実です。

 

もしもあなたが賢明な投資家なら、先出しジャンケンではなく、後出しジャンケンをするべきです。

 

投票結果をみて株が暴落したら安くなった銘柄を買い増す、もしも株が暴騰したら何もせず次のチャンスを待てばいいだけです。相場が落ち着いたころに、またいつも通りに自分のルールに従って、買い増ししていけばいいです。

 

大事なのは事が起きてから、行動に移しても遅くはないということです。先のことを読んで、博打を打つ必要など一切ありません。

 

人間は自分のことを他の人よりも賢いと思われたい生き物です。

 

イギリスがEU離脱すると思ったから、何々の銘柄に賭けて数10万円得をしたと、友人や家族に言いたい気持ちはわかります。しかし、これを求めてしまうと、投資ではなくただのギャンブルになってしまいます。

 

プロの投資家と同じ土俵で戦わない

 

平均的なサラリーマンが一番やってはいけないことは、プロの投資家と同じ土俵で戦おうとすることです。彼らは、投資の知識が少ない投資家の事を、絶好のカモだと思っています。

 

プロの投資家は、一般大衆(サラリーマン投資家)がどう動くかを予想して、常にワナを仕掛けています。

 

例えば、イギリスの国民投票のときには、EUは恐らく離脱しないだろう、"だけどもし予想に反して離脱したら大儲けできる"から、損をしない程度にリスクヘッジして、離脱する方にもポジションを置いておこう、という発想で博打をしています。

 

テレビやインターネットの情報を見て、よしEU離脱に賭けてみよう!と考えるサラリーマン投資家と違います。

 

そうすると、サラリーマン投資家は最初から、投資なんてやらない方がいいんじゃないか?という声が聞こえてきそうですが、単純な話、彼らと同じ土俵に立たなければいいだけの話です。

 

プロの機関投資家と同じように勝負する必要は一切ありません。プロのファンドマネージャーは、顧客に対するポートフォリオの説明や、買える銘柄と買えない銘柄、資金が大きすぎて動きが鈍い、など様々な制約があります。

 

本業が忙しくて時間が取れないサラリーマンほど、投資をシンプルに考えるべきです。

 

先のことがどうなるかわからない時ほど、あえて「何もしない」というのが最大のリスク回避なります。短期的なイベントの結果を予想して、ポジションを変えようとすると負けてしまいます。