年収300万でも、若い人が貧困から脱出する方法

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個人的に貧困問題には人並み以上に興味があります。

 

「生きさせろ!難民化する若者たち (ちくま文庫)」
「貧困とセックス」

 

という本をよく読みます。

 

こういう本を手に取る理由は、自分も20代の頃は貧困だったなという自覚があるからです。大学を卒業して社会に出て働き始めたころ、東京に住み年収が320万円程度でした。この頃は自分は間違いないく低所得者(貧困)層だと思っていました。

 

親に高い授業料を払ってもらい国立大学を卒業し、仲良かった友人が大手企業で働くなか、自分は何をしているんだろうという思いが常にありました。

 

結論をいうと現状300万円程度稼いでいるのであれば、貧困を脱出するのはそれほど難しくありません。個人的な意見ですが、貧困かどうかはその人が生活水準を自分に合った適切な水準までコントロールできない問題、もしくはその人が貧困かどうか考え方によって決まります。

 

貧困の定義は社会的にも結構あいまいです。

 

IT業界の最底辺にいたとき

 

IT業界の多重下請け構造の底辺の企業にいたのですが、周りから集められてくるエンジニアはみな、下請け企業から派遣されてきた集団です。自社の社員は一人もいなく、知らない会社の人たちと一緒に仕事をしていました。

 

過酷な労働環境だったためエンジニアの流動性は激しく、翌月にはだれかしら職場を去り、専属の営業マンがまたどこからか人を集めてきます。マネージャークラスは変えが効かないため待遇も良く固定されるのですが、下っ端のプログラマーは工場の労働者のように次々に入れ替わります。

 

死ぬ気で働けばマネージャークラスまで行けたかもしれませんが、そういう気持ちは割と早いうちになくなりました。

 

そんななか、残業が出ない企業に所属してお客さん先に出向し平均で夜の10時、遅いときは11時過ぎまで出先で仕事をしていました。この職場は1年程度で去ったのですが、あのままそこにいれば間違いなく今も同じような企業に安月給でこき使われていました。


こういう生活をしてしまうと貧乏人は余計貧乏になります。

 

給料が安く職場の近くに部屋を借りられないため郊外に住みます。郊外に住むと片道で1時間近く掛かるため睡眠時間が減ります。多少お金がもったいなくても睡眠時間を確保するため、毎晩外食することになります。

 

そうすると馬鹿みたいに働いても手元にお金が残るわけでもなく、なんのための働いているのかわらなくなります。

 

自分が低所得者じゃないと自覚し始めたのは28歳頃からです。その後は働く時間も短くなり、年収も右肩上がりで増えました。今の生活にはある程度満足しています。

 

この経験から貧困から脱出するためにはある程度戦略が必要だなと思い始めました。とくにわたしのように社会をよく知らないまま、社会人になったサラリーマンは要注意です。なんとく働き始めると、気付いたら働くために生きているということになります。

 

運よく現状に気付き現状を打破できたらいいのですが、そうでなければ生涯お金に苦しむことになります。

 

個人的には現状でも年収を300万円ほど手にしているのであればそれほど脱出するのは難しくないと思います。結局のところ貧困かどうかは実際の年収よりも、その人が生活水準を自分に合った適切な水準までコントロールできない問題、もしくはその人が貧困かどうか考え方によって決まります。

 

東京に住んでいると年収300万円は十分貧困

 

学生のころは大学を卒業し社会に出るとお金に困ることはないと漠然と思っていましたが、毎月会社から振り込まれる少ない給料、生活費を引いた後にひと月に手元に残るお金が少ないこと、2008年の金融危機でいつ仕事がなくなってもおかしくない環境にいたことから、自分は貧困だと思っていました。

 

若いときは社会についてよく知らなかったのですが、貧困層の定義について調べてみると以下になります。

 

厚労省関連の資料によると、低所得者(貧困層)の基準は「住民税世帯非課税」とあります。つまり、単身だと100万円程度、夫婦だと135万円となります。

 

しかし、実際には年収が300万円以下であれば、世間一般では低所得者だと言われているようです。なのでここでは年収300万円以下を貧困と定義します。

 

年収が少ない、多いという議論は年収だけで語られることが多いですが、どこに住んでいるかが重要になってきます。

 

たとえば、本州で年収が一番少ない青森県の平均年収は358万円です。この場合、年収300万円貰っていれば本人は年収が少ないという自覚はないかもしれません。貧乏を感じるかどうかは周りとの相対評価で決まります。

 

また、実家から通うことができる地元の職場で働くことができるなら、たとえ年収が少なかったとしても困ることはありません。手取りが15万円もあれば十分余裕がある生活を送ることができます。

 

しかし、年収300万円で東京に住んでいると相対的に貧乏を感じやすくなります。東京の平均年収は623万円もあります。一部の富裕層が収入を大きく押し上げているという事実はありますが、それでも東京は平均年収が600万円以上の人たちをターゲットに設計されていると言えます。

 

実際に年収300万円台で東京に住んでいると貧富の差をひしひしと感じます。手取りが20万円しかないと、高熱費など含んだ家賃で8万円、携帯や通信料で1万円、食費で3万円、飲み会で2万円、床屋や衣服などを購入すれば、月に残る金額はほとんどありません。

 

東京は家賃が高いため、自然と通勤時間が長い郊外に流れることになります。

 

ブラック企業に入社すると抜け出すのが難しい

 

定時に帰ることができたらいいのですが、仕事を覚えていない新人社員は職場の雰囲気からか残業することになります。世間一般的にブラック企業のような会社で働くと長時間労働を避けることはできません。ブラック企業は長時間人を働かせることでなんとか利益を出しています。

 

IT企業の下請け構造にいる大半の企業は十分ブラックです。こういう環境で働いてしまうと貧乏人は余計貧乏になってしまいます。

 

怖いことに、環境が厳しければ厳しいほど自分が成長しているような変な高揚感があるため、意外と本気で抜け出そうとする人は多くはありません。日本人だけではないと思いますが、エンジニアはマゾが多いと思います。

 

IT業界にいると、被害者意識が強く行動力がない人が多いせいか、不満を漏らしながらも自らその場を離れようとしません。契約が切れて仕事がなくなってから本気で焦る人を何人かみかけました。実際には末端プログラマーの低収入の仕事は常に人手が足りないため、リーマンショックのような経済状況にならないとなかなか弾き出されることはありませんが。

 

また、本気で抜け出そうと思っても平日は仕事に追われて定時後も面接に行くことができず、週末は仕事で疲れ切っているため、身体を休むためにゆっくり時間を過ごしたくなります。忙しい職場に配属されると、平日は定時に帰りたいということを伝えることでさえ億劫になります。

 

仕事で疲れ切っている中で転職活動を続けることは容易ではなく根気が必要です。たいがいどこの企業も、最低でも2時面接があるし、多ければ3時面接まであります。

 

安易に転職活動を終えようとすると、今よりも低水準の会社で働くことになります。

 

ではどうやったら貧困を脱出できるのか

 

こういう心理的に追い込まれた状況にいると現状を打破するのは非常に難しくなります。なかなか冷静に今の状況を判断できないからです。そもそも冷静に今の状況を判断できる人は、そういう職場には最初からいません。

 

現状を打開するためには一度冷静になって、それから次の一手を考える必要があります。


もしも自分が昔の年収320万円時代に戻ることができるのであれば、やることは3つです。

 

①生活水準を徹底的に下げる
②睡眠時間を確保する
③残業をしない

 

生活水準を徹底的に下げる

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心理的に追い詰められることの最大の原因はお金がないことにつきます。

 

投資の世界で大金を失うときというのは、いつも精神的に大きなストレスを抱えているときです。辛い状況でもせめて残業代が振り込まれていれば、お金を使う暇がなく黙っていても貯金口座の残高は増えていくため、将来に希望を持つことができます。

 

長時間労働で働く現場にいて思ったのは、同じような仕事内容で同じくらい時間働いていて、精神的に病んでいくのは明らかに残業代を貰っていない方です。

 

会社によって給与体系やネームバリューが違うため、同じような仕事でも待遇は全く違います。残業代が満額出る人もいれば、みなし残業を貰える人もいれば、そもそもまったくでない人もいます。給与格差は2次請けか3次請けによって決まります。

 

なるべく手元にお金を残しておくことで精神的余裕を持ちます。

 

たとえば、生活水準を徹底的に落とすためにシェアハウスの複数人部屋タイプに住みます。1人暮らしで郊外で8万円払っていたところで、複数人タイプの部屋を探すとそれだけで4万円程度家賃を抑えることができます。

 

あとは、携帯を格安携帯に変えて月に4千円程度抑えます。生命保険に入っているのであればネットの格安の掛け捨てタイプに変えて5千円程度抑えます。

 

コンビニでご飯を買うのを辞め、家から水筒を持参し可能な限り弁当を作ります。コンビニで買うくらいなら、週末に大量にご飯を作って同じものを食べていた方がまだマシです。

 

月に5万円程度お金を残すことができると精神的に余裕が生まれます。1年間頑張って働けば60万円、5年間頑張れば300万円貯まります。

 

睡眠時間を確保する

 

睡眠時間を確保していないと人間は様々な弊害を引き起こします。たとえば、気力が湧かない、集中力が低下しパフォーマンスが下がる、仕事のミスが増える、冷静な判断ができない、イライラする。

 

この状態では仕事で活躍して良い評価を得ること自体難しくなります。

 

ここで注意が必要なのは通勤時間が長い人ほど、年収が低く幸福度が低いという特徴があることです。

 

こういう議論が出ると、年収が高い人は職場の近くに住めるけれど、年収が低い人は家賃が高い都心に住めないという話によくなります。最初から年収が高い人は一握りで、高収入を得る人の大半は、効率よく働いて成果を出したからこそ年収を上げることに成功しています。

 

朝から1時間通勤で消耗し仕事を開始した人と、徒歩10分で通勤してきた人とでは仕事のパフォーマンスに差があって当たり前です。

 

同じ時間に仕事が終わったとしても、1時間40分睡眠にあてる方とそれができない人とで成果が同じなわけはありません。これが1年も続くと目に見える大きな違いが生まれます。長時間労働をしているとこの差はボディーブローのように効いています。

 

現在はシェアハウスが流行したことで都心でもどこにでもあります。わたしは個室を諦めて職場が徒歩5分の場所に6万円で住んでいますが、当時の年収300万円時代の自分にもこの生活を勧めます。

 

それほど通勤時間が短くすることはインパクトがあるからです。家賃5万円の郊外から家賃8万円の都心であれば、多少無理をしてでも後者を選択します。現在は後者を選択しても個室を諦めさえすれば家賃を安く抑えることができます。

 

残業をしないこと

 

サラリーマン生活を8年間続けてきて確信したことですが、労働者の残業ほど無駄な時間はありません。これは残業代が出ても出なくても一緒です。

 

株式投資をするようになり、資本主義社会に資本を出す側として参加することによって思ったことですが、労働者はどこまでいっても労働者でしかないということです。

 

会社と労働者との契約は、契約がすべてで合ってそれ以外の何物でもありません。

 

会社のために10年間サービス残業をしてどれだけ尽くしたとしても、その会社を辞めたとたんにそれは1円の価値もありません。もしもその会社の役員まで上り詰めることを目標とし、その会社に捧げた貴重な時間を回収できるなら別です。しかしそうでなければ、時間とお金をドブに捨てたようなもので、大半はそこまで考えて仕事をしている人はいません。

 

特に年収300万円台の仕事なんて世の中にいくらでも溢れていて、いつでも替えが効く仕事です。年収が低ければ低いほどその特徴が強いのですが、その環境でもさらにサービス残業をして会社のために働くのは異常といえます。

 

ただ、すぐにその場を去るのは次の仕事にも影響が出るため避ける必要があります。

 

昔の自分にアドバイスするのであれば、職場の上司と話し合って労働時間を1時間でも短くする相談をします。親が病気で介護が必要になったからとか、夜は実家の手伝いをしないといけないからとか、身体に持病があって長い時間働けないとか、嘘でも何でもいいから話します。

 

どのみちこの職場には長くいないことが前提なので理由は何でも構いません。この会社がお金を稼げないのは多重構造の最下層にいるからであって、個人の能力で打開できる問題ではありません。長く在籍するほど損をします。

 

これが理由で退職を勧められたら、会社都合にしてもらいなるべく長い期間働けるように交渉します。

 

余裕を持ってから判断する

 

ある程度お金を手元に残すこと、通勤時間と労働時間は可能な限り短くすること、この3つを達成するとたとえ年収が300万円しかなくても心に余裕が生まれてきます。

 

そうするとインターネットで収入を増やす方法を探しても、これからは英語ができれば仕事に高収入を得られるとか、サラリーマンでも投資で簡単に月5万円稼げるとか、そういう安っぽい情報にまどわされず、ある程度正しい判断を持つことができます。精神的に疲れている状態でこういう情報を得てしまうと、さらに遠回りする道に進んでしまいます。

 

たいがい精神的に余裕がない状態でなにか新しいことを始めようとすると人は失敗します。転職するにしても副業するにしても、新しく資格の勉強するにしてもうまくいきません。

 

自分が貧困を脱出できたと思ったのは30歳手前になってからです。20代のときは途上国の安月給で年100万円程度で働いていたこともあります。収入が少なくても良い経験をすることができたのはまず間違いないのですが、経済的自由から獲得するためには遠回りをしてしまいました。

 

年収300万円でも仕事のストレスを減らし、毎月決まった金額を株式投資にお金を使っていた方が遥かに近道でした。今と同じ知識をもっていたのなら、もっと違う戦略を取っています。

 

現在だと年収300万円以下の層は全体の4割を超えました。日本経済が成長していかない限りはこの割合は増え続けます。全体のパイが成長する中では黙っていても年収は増えていきますが、パイが減る中では明確な戦略が必要になります。

 

 

年収300万円でも資産を築く方法

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安易な転職は余計貧乏になるという話

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