2016年度の東京電力の決算予想、10年単位で考えたら東京電力株は買いの理由

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ひさしぶりに電力会社の値上げがありました。

 

Yahooニュース

5月電気料金 大幅値上げ | 2017/3/22(水) 18:19 - Yahoo!ニュース

 

最近は世界の原油価格が急落したことでしばらく値上げがありませんでした。今回大幅に電力料金が上がるようです。値上げの主な原因は再生可能エネルギーとあります。

 

再生可能エネルギーのコスト増は、電力会社には直接的な旨味はないのですが、それでも電気料金の値上げは電力会社の売上高を大きく押し上げます。これは電力を消費する国民にとっては悪いニュースですが、電力株ホルダーにとっては良いニュースになります。

 

震災事故から6年が経過しましたが、東京電力のPERは4.27倍、需要がなくなることはないインフラ株、インフレに強い電力株などを考慮すると、できるならまだまだ仕込んでおきたい銘柄です。

 

かつてスリーマイル島原発事故を起こしたアメリカのエクソン・モービルも、急落した株価が数年後に回復したというのは忘れてはならない事実です。

 

各電力会社は原発が停止したことで電力コストが大幅に上昇したため、電気料金を押し上げることで利益を確保しています。すべての日本国民にとって電気料金が値上がりしたから買わないという選択肢はありません。

 

電気料金値上げのニュースは追加投資したくなってしまうニュースです。

 

業績回復株の東京電力株とは

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過去10年の東京電力の株価です。2011年の震災以降地を這うように暴落した株価が、徐々に回復しつつあるのがわかります。

 

生産人口減少が続き成長しない日本経済で、電力株はある程度強気に買いに行ける数少ない銘柄のひとつです。

 

日本経済はこの先10数年間以上経済が成長しないことが見込まれています。これは超高齢化社会を迎える上で避けられないことです。そんななか20年来のデフレを脱却し、急激にインフレが進みます。このインフレは経済成長を伴わない悪いインフレです。

 

インフレが進んでたとしても電力株は容易に価格転嫁することができます。電力を買わないという選択肢は消費者にないからです。完全に自給自足で発電している家庭は例外ですが、そんな層は全体の0.01%もありません。

 

もう少しで2016年度の電力会社の決算が発表されます。その前に過去5年間の東京電力株の決算をまとめてみました。

 

東京電力の2015年度の決算と過去5年間の推移

東京電力:財務ハイライト

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参考:財務ハイライト|株主・投資家のみなさま|東京電力ホールディングス株式会社

 

2011年以降、東京電力の売上高は上昇しています。

 

電力会社は燃料を大量に仕入れて、それを電力化し販売するだけの単純なビジネスモデルです。単純なビジネスモデルですが長い歴史と設備投資がるため、参入障壁は非常に高く事実上電力を独占販売しています。電力会社の売上高の上昇は、国民あたりの電気料金に直結します。

 

震災以降、各電力会社は電気料金を上げています。

 

例えば東京電力の場合、震災が発生した2011年の売上高は5兆3494億円でしたが、2014年は6兆8024億円です。わずか3年の間に27%も上昇しています、つまりこれは国民あたりの負担額が増していることを表しています。

 

一方で、2015年度の売上高は「-10.8%」大きく減少しています。東京電力の決算書をみると以下2つが売上高を押し下げた原因です。

 

・暖冬により販売電力量が3.9%減少
・電気量収入単価低下、12.8%減少

 

単純に販売電力量が減少したことよりも、電気量単価が大きいことが響いています。電力会社は燃料費調達制度を採用しているため、市場の原油価格とタイムラグがあります。

 

燃料費調達制度とは:
原油・LNG・石炭それぞれの3か月間の貿易統計価格にもとづき、毎月平均燃料価格を算定する制度です。

 

2014年に1バレル100ドルあった原油価格は、現在3分の1程度と大きく値崩れしています。原油価格の暴落が電力会社の売上高を大きく押し下げていますが、電力会社は購入した燃料を電気に変えて販売するだけの単純なビジネスモデルのため、営業利益も経常利益も引き続き増加しています。

 

意外と知られていない事実ですが、2016年4月電力自由化による影響はほぼありません。東京電力管内の家庭向け電力は総額2兆5000億円ほどありますが、電力契約の切り替え件数は4月末時点で全体の2%程度です。金額にすると500億円程度と売上高への影響は微々たるものです。

 

2015年度の純利益は1407億円(68.8%減)と大きく減少しました。純利益が減少した原因は以下の費用を計上したからです。

 

・原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金、+6997億円
・原子力損害賠償・廃炉等支援機構へ返金、-7730億円
・ホールディングカンパニー制移行以降費用、-2333億円

 

つまりこの分がなければ、純利益は4400億円と前年度と大して変わらず安定して利益を上げていることになります。原発無しでも完全に利益を出せる水準まで回復して3年が経過したことになります。

 

2016年度の東京電力の決算は

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2016年度も、原油価格が下がった影響で売上高は減少することが予想されます。営業損益や経常損益も同様に減少します。ここにきて抜本的なコストダウンが一段落した印象があります。

 

コストダウンを開始してからもう5年も経過するし、原発なしでも4000億円の利益を計上していることからも十分な数値といえます。

 

2016年度の営業損益と経常損益の予想減少幅は前年度の10%程度です。理由については決算書からは読み取ることができませんでした。

 

東京電力が予想する2016年度の決算は以下の通りです。

 

売上高、53440億円、-7250億円
営業損益、3360億円、-360億円
経常損益、2910億円、-350億円

 

昨年度のカンパニー制度移行費分を差し引けば、今年度も3000~4000億円の純利益になります。これは優良企業として十分な数値です。

 

決算が好調でも株価が重い理由

 

東京電力のPERを見ると4.27倍と超割安です。PERとは1株あたりの時価総額のため、以下に東京電力の株価が割安にみられているかがわかります。

 

これだけ割安に放置されている原因は、廃炉・買収費用という思い足枷があるからです。

 

とくに福島第一原発事故の費用は従来予想よりも大きく膨らみました。当初11兆円程度と言われていた廃炉費用は、20兆円と試算されています。これが公表されたのが2016年11月のことです。

 

毎日新聞

福島原発事故:廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 - 毎日新聞

 

東京電力が原発なしにV字回復を成し遂げ3年経ちましたが、大きく株価が上昇しない要因はここにあります。

 

こうした理由から株価は腰が重く上がっては下げての繰り返しです。2015年7月に一時900円近く上昇しましたがすぐに暴落し、その1年後には350円まで落としています。2016年11月にも550円まで上昇しましたが、再び現在は430円付近を行ったり来たりしています。

 

東京電力株を買い増ししたい3つの理由

 

個人的には廃炉・賠償費用が20兆円と巨額なのはわかりますが、それほど悲観すべき数値ではないと思っています。

 

2~3年後、東京電力株で儲けられるかと聞かれたらわかりませんが、10年単位で考えたときに損をする理由がないくらい確実に儲けられる銘柄ではないかと期待しています。それは以下の理由からです。

 

・V字回復を果たし安定して4000億円程度の純利益を上げられること
・1~2年後に柏崎原発が再稼働すること
・原発を保有する全電力会社が費用を負担すること

・海外展開を視野に入れている

 

まず安定して4000億円程度の純利益を上げられている点は非常に魅力的です。円安や原油価格などで売上高は大きく変わりますが、ビジネスモデル上今後も利益が大きく変わることはありません。

 

仮に原発が再稼働せず、このままの売り上げで東電だけが費用を負担した場合、50年で完済することになります。50年というと果てしない数値ですが、銀行や投資家がお金を出す企業というのは常に継続して利益を出し続ける企業です。

 

50年で回収というのは金融商品としては決して優れた商品ではありませんが、必ず50年で返済できるというのは非常に魅力的です。

 

また、実際には費用は東京電力だけで負担するものでもないし、現在審査している原発も数年後にはすべて稼働します。また、日本経済はインフレしていくことが予想されるため借金は目配りし、電力会社はインフレ分を電気料金に価格転覆し売上高を大きく増やしていきます。

 

これだけ多額の費用をかけて安全審査まで運び、やっぱり原発を稼働しませんというのはまずありえません。そもそも原発とうのは電力会社のエゴではなく、国策で進めてきたからです。

 

廃炉・賠償費用をすべての電力会社が負担するというのは非常に素晴らしいニュースです。

 

アメリカのエクソン・モービルの例でいうと、事故発生から他の原子炉が運転を再開したのは事故から6年後、その後事故処理負担を電力会社で負担すると決めたのは事故から7年経ってからです。

 

明らかに日本の方が電力会社の方が順調に進んでいます。これはアメリカよりも日本の方が資源に乏しく、多くを原発に頼っていたからです。

 

海外展開を視野に入れている

 

あまり知られていませんが、東京電力は海外投資に力を入れています。

 

海外発電事業の2014年3月期の純利益は218億円の利益を上げています。これは3年で7倍以上増えたことになります。

 

単純に日本経済だけを見ると、日本市場が成長していかないことは誰の目にも明らかです。本来電力事業は国内だけの事業ですが、それでは売上高は頭打ちになってそこから減少していくのは目に見えています。

 

日本は世界で3位の経済大国です。その分、電力会社は膨大な電力量を管理し日本全国に安定して供給していることになります。安定して供給するレベルは日本は世界一です。

 

隣のアジア諸国に目を向けると、中国を抜かして日本ほど大きな経済大国はないし、電力は常に不安定、一方で経済は急成長し常に電力が足りない状態です。

 

アジアの途上国に住んだ方ならわかると思いますが、停電はしょっちゅうおきます。会社で突然電気がシャットアウトすることは週に数回あるし、住んでいたマンションで停電は月に数回あります。

 

日本はアジア諸国に売れるだけの電力ノウハウや技術を持っています。


廃炉や賠償費用20兆円を負担するのは日本国民である

 

結局のところ、廃炉や賠償費用を負担するのは電力会社ではなく電力を使用している国民です。再生可能エネルギーのように政府に負担を求めれば税金として徴収し、電力会社に負担を求めれば電力料金として利用者である国民が負担するだけの話です。

 

これは震災後に、電力会社の平均年収は数年後にすぐに元の水準まで回復したこと、廃炉・賠償負担が東京電力だけではなく全力電力会社負担になったことでもすぐにわかります。

 

国民の感情論に流されてしまい、民主党は大きなミスを犯しました。そのおかげで個人投資家は儲けることができるのは皮肉ですが。

 

原発の前期停止は、資源の多くを外国に依存する日本の国益を奪っています。原発19基再稼働ならGDP8000億円の押し上げ効果があると言われています。つまり、原発を停止してから毎年8000億円も無駄にロスしていることになります。

 

日本経済新聞

原発19基再稼働ならGDP8000億円押し上げ エネ研 :日本経済新聞

 

原発を動かしても動かさなくても原発のリスクは変わらないのだから、動かさないよりは動かした方が良いのです。なんとなく動かしていたら怖いという安易な気持ちで停止したのならあまりにも非論理的です。

 

また、原発を停止したことに加えて安全審査により厳しい基準を設けました。この安全審査を合格するために巨額の設備投資を必要とします。原発を動かしながらこの基準をクリアしたっていいわけです。

 

お金はないところから発生しません。安全を買うには誰かがお金を払う必要があります。その費用を電力会社が負担するわけではありません、負担するのは日本国民です。

 

国民はこうした事実を真摯に受け止める必要があります。原発を停止して倍の電気料金を払うか、それとも今まで通りの電気料金で原発を使用するか選択しなければなりません。


一般家庭であれば前者を選択してもいいと考える人もいるかもしれませんが、製造業など大量に電気を消費している企業にとってはこれほど辛いものはありません。企業は利益を上げなければ存在価値はありません。立派な企業理念を掲げる企業は多いですが、まずは利益あっての理想論です。

 

電気料金の高騰は彼らの業績を直撃します。社員をリストラすることで乗り切るか、電気料金を価格に転覆するかのどちらかです。価格に転覆するのも彼らにとっては大きな決断です。日本の経済は製造業が中心ですが、製造コストが上がると日本でモノづくりが減ってしまいます。

 

じゃあ電力会社を完全民営化すればいいの?

 

じゃあ電力会社が100%民営化して、競争社会にすればいいのかというとそう単純な話でもありません。

 

過去に電力自由化した国は例外なく電力料金が上昇しています。結局のところ水道・電力・通信などの独占企業はどうしようもないところがあります。

 

通信キャリアが3社あったとしても、独占企業である以上はどれも似たよりよったりのサービスになってしまい最終的には競争しなくなります。この3社が競争するメリットは何もないからです。3社が競争しないで居続けられるくらいなら、最初から1社だけに絞ってくれた方がコストは安くすみます。

 

震災で事故を起こしたのが東京電力だったから良かったですが、もしもこれが完全に100%民間の企業だった場合どうなっていたでしょうか。

 

返済しきれないほどの大量の負債を抱えてしまったため、来月に債務整理をして倒産しますといわれたら日本中は大パニックになります。

 

電力とはそういうものです。

 

電力株で180万円仕込み中

 

現在は東京電力に100万円仕込んでいます。東京電力よりもリスクの少ない北海道電力に80万円仕込んでいます。電力株で合計180万円です。

 

最近はあまり大きい動きはありません。もしも今より株価が下がることがあればさらに買い増ししたいと思っています。

 

電力株はリーマンショックなどの金融危機に強く、インフレの脅威に対抗できる数少ない銘柄です。今の日本株の中ではレアなカードです。株価が下がったとしても強気で買いに入れます。

 

まずは口座開設から

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スリーマイル島原発事故では13倍のリターンがありました

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業績回復株とは

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